POWER CRAFT




2021年5月。パワークラフトは日本自動車研究所 城里テストセンター(JARI)の高速周回路にオートプラザダンク全面協力で、6台のスーパースポーツカーを持ち込んで走行テストを実施しました。
SVJ(LP770-4)を筆頭に、SV(LP750-4)、S(LP740-4)、50°アニヴェルサリオ(LP720-4)という4台のランボルギーニ・アヴェンタドールに、フェラーリ458スペチアーレ、F12tdfと、いずれも究極的なスーパースポーツカーです。高速領域で安全かつ確実なテストを行なうため、日本自動車研究所をその場に選びました。
目的は決して最高速チャレンジではありません。低・中速域から高速域にかけてあらゆる負荷をかけた状況で、屋外に響き渡る音から、車内での官能性など、音量、音質を確認し、音消えなどの有無を見極めます。一般公道では絶対に不可能なシチュエーションでの高速走行テストです。そこには見えざる空気の壁があり、些細な風や路面のコンディション変化が大きく関与するなど、我々としても未体験領域でのテストとなりました。

走行方法は統一しました。曲線部(バンク)における安全設計速度が190km/hであることを考慮し、侵入や立ち上がりを含むバンク内では決して無理をせず、220〜240km/h付近の安全な速度で。しかしストレートだけは存分にアクセルを踏み込むことにしました。
信頼できるレーシングドライバー、4名にステアリングを託してフィーリングを確認しました。ドライバー個々の個性や、あるいは各モデルの性能差によって扱い方が異なるため、速度やタイムなどの数値比較ではなく、フィーリングチェックに重きを置きました。

それでも、アヴェンタドール勢はストレートエンドでまだ余裕がある状態で300km/hを超える領域へ。公道で使用するSTRADAやSPORTモードの状態でもクルマのポテンシャルは充分以上です。我々が開発したエキゾーストシステムの性能よりも、むしろクルマのポテンシャルの高さには驚かされました。ドライバーの誰もが口を揃えて絶賛しました。
これがコンペティションユースのCORSA、EGOモードであれば、変速スピードやそれに伴う加速力、そして音質がよりエキサイティングだったのかもしれません。4台のアヴェンタドールは310km/hを超えても加速力に頭打ち感を感じさせず、高速域を許容するギアレシオが相まって、もう少し直線が長ければ軽く340km/hは超えていたでしょう。

フェラーリ勢のポテンシャルも高く、F12tdfは300km/hを飛び越えながらも抜群の安定感を感じさせました。6速全開で簡単にジャスト300km/hへ、そこから7速にシフトアップすると、ギアレシオの関係かわずかに加速が鈍ったのをドライバーが感じ取りました。458スペチアーレはタイヤのバイブレーションが発生したことで、安全を最優先し、287km/h付近で走行テストを中断しましたが、クルマのパフォーマンスは抜群でした。

安全を最優先しながらのフィーリングチェックとはいえ、与えられた条件下で最大限に潜在能力を引き出そうとする。これがレーシングドライバーの本能なのでしょうか。

今回のテストのもうひとつの目的は、アヴェンタドールSVJに開発したエキゾーストシステムVer.2のサウンドチェックでした。ただ音量を求めるのではなく、SVJにふさわしい音と性能を追求してきた我々にとって、既存のVer.1との比較をしながら限界領域まで導く、有意義な走行テストができたと実感しています。Ver.1に比べるとより音域がやや高くなったことで、Ver.1とはまた違った魅力を持つと判断し、今回のテスト結果を持って、正式にVer.2の発売に踏み切ることにしました。

テストの模様やエキゾーストサウンドに関しては、随時、オフィシャルホームページで公開していく予定です。ムービーカメラのマイクで集めたサウンドは、実車から発せられるリアルサウンドとは異なります。実車を前にして耳や身体全体で感じ取る音量、音質、その迫力にこそ敵わないかもしれませんが、ぜひとも参考にしていただければ幸いです。

今回の走行テストを終えて、あらためて6台の自社評価(サウンド、フィーリングなど)は合格点の領域にあると再確認することができました。
しかし、我々パワークラフトは、飽くなき進化を求め、さらに前進してまいります。
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